子供は褒めて伸ばすべきだ。
という育て方が良いというのはよく聞く話です。
とにかく子供がやった事は手放しで褒めてあげる。
その方が自信がつきそうだし。
いやいや、そんなこと言ったって子供は毎日叱る事しかしないんだから褒めるなんてとんでもない。
「いつも怒ってばっかりだよ」
という方もいて、意外と難しいのが子供を褒めて育てるということ。
ただ、注意しなければいけないのは何でもかんでも褒めてしまう事。
なぜなら褒め方次第では子供の成長を妨げてしまうという、大きな落とし穴があるからなんです。
92才で保育士として60年、いまだ現役として子供の面倒を見ている大川繁子さんの著書、
「子供はもっと自由に生きられる」によると、
子供の褒め方を間違えてしまうと、褒められることが目的となり他人の評価ばかりが気になって行動してしまう、
ある意味不自由な子供に育ってしまうそうなんです。
例えば、
部屋の掃除を毎日率先してやってくれる子がいました。
「掃除してくれてありがとう、すごいね」とその子を褒めてあげる。
でも実はこれが間違った褒め方なんだそう。
たまたま掃除をしてくれた事を褒めなかった日があったらその子は「ねぇ、あたし掃除して良い子でしょ?」と、
褒めてくれる事を求めてくるようになる。
そればかりか、褒めてくれる人がいるかいないかで掃除をするかしないか決めるようになってしまう、
つまり行動の目的が、褒めてもらう事になってしまうそうなんです。
自分の子供がそんなふうになってしまわないか少し心配になってしまいますよね。
では、保育歴60年の大川先生は掃除をしてくれた子供にどう伝えるのか?
「先生、掃除してくれて助かった。嬉しいな」
そう、その子に伝えるそうです。
そして、みんなの前で「〇〇ちゃんが掃除してくれたからお部屋がキレイになりました」
と話すそうです。
そうすることで、みんなは自然に掃除してくれた○○ちゃんにありがとうと言えて、
掃除をした〇〇ちゃんは「誰かに喜んでもらったり、人のためになることってうれしいな」と思えるようになるそうなんです。
これは教育に使われているアドラー心理学の、自分はみんなが参加する社会の一員で、
人のために貢献できるという喜びを感じられることを目指す、という考え方を実践しているそうです。
掃除してくれたことを褒めるのではなく感謝の気持ちを伝える。
ちょっとした差のように感じますが、
「掃除した私はエラいでしょ?」と思わせるか、
「みんなが喜んでくれるならまた掃除しようかな?」と思ってもらうか
子供の成長にとって、どちらがいいかはハッキリしてますよね。
褒められ方の違いで勉強などの取り組み方が違ってくるのはご存知でしょうか?
結果を褒めず努力していることを褒める
どっちがいいの?
- テストの点が良かった事を褒めてあげる
- テスト勉強を頑張った事を褒めてあげる
さて、どちらの褒め方をすればその後の成績が上がる傾向になるかわかりますか?
正解は、テスト勉強を努力した事を褒められた方がその後の成績が上がったそうです。
あの林修さんがテレビで紹介してベストセラーになった教育本によると、
テストで良い点を取った(能力)ことを褒められた場合、この先難しい問題が出てきて分からなかったら
「自分には能力がないんだ」と思って諦めてしまう傾向にあるんだとか。
一方、勉強を努力して頑張ったことを褒めた場合は、たとえ難しい問題があったとしても
「まだ自分の努力が足りないだけだ」と
粘り強く取り組む傾向にあるようなんです。
結果(アウトプット)を褒めるのではなく、
努力(インプット)を褒めてあげる。
この言葉かけ1つで、学校の成績にも影響する褒め方。
親である私たちは、どんな言葉で子供を成長させてあげられるか学ばなければいけませんね。
いま出来ていることを褒めてあげる
親として、子供を褒めて育てるというのは意外と難しく感じるものです。
なぜなら子供はあまり褒めてあげるようなことをしないからです。
大人が当たり前にやっていることが出来ないのでついつい怒ってしまいます。
しかし、まだまだ未熟な子供なりにも頑張っていることもありますよね?
ご飯の時、落ち着きなく立ったり座ったりあっちこっち行ってしまう子。
でもちゃんと座っている時間もあるわけです。
その時に「ちゃんと座れてエライね。ママうれしいな!」
と言葉をかけられるかどうか。
この言葉の中には、自分を肯定してくれているという安心感と、
ちゃんと座ればママが喜んでくれるという、先ほどのアドラー心理学の他者貢献の喜びの意味が含まれているんです。
「いいから早く食べなさいっ!!」と、つい言いたくなる言葉を飲み込んで、
子供の成長のためには出来ていないことよりも、出来ていることに目を向けて褒めてあげた方が、
長い目で見たら良いんです。
大人にとって当たり前のことでも、子供には頑張って出来たことかもしれません。
まだ生きた年数が少なく、経験や能力が足らないだけで出来ないことが多いだけ。
子供にとっては我慢をすることだって大変なことです。
親の私たちも甘いものを我慢できず食べ過ぎてしまったという経験ありますよね?
子供目線で物事を見てあげるのも大事でしょう。
参考にした本を紹介
大川繁子 「子供はもっと自由に生きられる」
作者はなんと92才で今だに現役の保育士として現場で子供の面倒を見ている方です。
特筆すべきはその保育園の教育方針。
朝、登園してから親がお迎えに来るまで、
やる事を一切決めず子供の好きなように過ごさせること。
しかも、お昼ご飯もバイキング形式になっていて好きな物を好きなだけ食べてもいいし、
全く食べずにずっと遊んでても叱らないというから驚きです。
ただ、完全放置の保育園かというとそんな訳ではなく、
教育方針の根底にはアドラー心理学とモンテッソーリ教育を取り入れていて、
子供にも人格があり、自分に関することは自分が決める権利がある。
大人は決めるための材料を子供に与えてあげる事だけ。
との考えのもと、1歳児から少しずつ自分で選ぶ練習をさせるそうです。
それぞれの子たちが大きく成長する時期を邪魔せずに伸ばすことに重きを置き、
自由に生きる力と責任があれば、どんな子もどんな世の中であろうとも幸せに生きられる。
何十年もその教育方針でやっていて実績もあるから評判が評判を呼び、遠方からはるばる引っ越してきてまで
「この保育園に入りたい」という強者もいるんだとか。
いわゆる世間で言う「スゴイ人」に育てる保育ではなく子供一人一人が、
それぞれ持っている能力や力をめいっぱい発揮するための保育を目指しているそう。
「自分しかない花を見つけてあげて、
自分で咲かせられるようサポートする」
この本の大川先生の話を読むうちに、
そうだったのか、もっと早くこの本の存在を知りたかったなと、悔やみましたね。
本の最後には全国の親が悩んでいるであろうお悩み相談コーナーもあり、何度も何度も読み返してしまいました。
読んでいくうちに、「これでいいのだろうか」とモヤモヤしていた子育ても、答えが見つかるはずですよ。
保育の現場に60年立ち、何度も失敗も繰り返し子供の成長にとってどんな教育がいいのか必死に学び、
今の教育方針を見つけた大川先生の話はとても参考になります。
読み終わったら、我が子を今までとは全く違う視点で見れること必至です。
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